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○会社は悪魔で、派遣は被害者なのか

派遣切りにあった。
ハローワークに通った。
会社の面接に行った。
ノギスは使えるかと言われた。
触ったこともなかった。
不合格。

2月7日にＮＨＫで放送された「ＮＨＫスペシャル 緊急報告 製造業派遣は何をもたらしたか」のひとコマです。

男性は30歳。4年間で3つの工場に勤務していましたが、製品を運ぶだけの仕事だったので、そのような技術を持っていないのです。
仕事は派遣会社が見つけてくれました。なので履歴書の書き方も知りませんでした。
新卒ならともかく、中途採用は即戦力を求めます。会社側から見ればこの男性は「すぐに使えない」と思われてもしかたがないと思います。
学校を卒業したら勉強は終わり、ではありません。一生勉強です。
不況が来なかったら、この人はずっと派遣で製品を運んでいたのでしょう。まだ30歳だからなんとかなるものの、40や50になってから、不況で派遣契約を切られたら、今よりずっと厳しいことになっていたはずです。履歴書も書けない40歳や50歳を企業が受け入れてくれる可能性はほとんどないでしょう。
4年間は働いてきたのですから、仕事の合間に正社員の働きっぷりを観察していろいろなことを身につけることもできただろうと思うのです。

1月のつぶやきで、不景気になると従業員を切る経営者は愛がない、と書きました。しかし、愛だけでは会社は生きてゆけません。
どうしても一人は解雇しなければならない。そんな時、ノギスなどを使える人と、使えない人、どちらを残しますかということです。

ＮＨＫが取材したこの人だけで、派遣労働者のすべてがこんなふうだと断じるつもりはありませんが、新聞記事やニュースを見ていると、一部、考えが甘いなあ、と感じる人がいるのは確かです。