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『たいていの人は、五粒飲んで元気になる薬なら、十粒飲めばその倍元気になるはず、と考えるだろう。だが、それは間違いだ。同じように、一時間悩むより二時間悩んだほうが倍いいアイデアが浮かぶかと言えば、そんなことはない』

著書『「自分は自分」でうまくいく』
著者：アーノルド・ベネット
翻訳：増田沙奈


　薬を倍飲めば倍効く、なんて思ったことはないのですが、悩んだ時間が倍になれば、いい考えが倍になるわけではない、というのは確かにそうですね。
　作者は不安について語ります。

『不安は、同じことを何度も繰り返し考えるうちに生まれる。
　そして、そのときにはどうすることもできないように思えても、時間をおいてあらためて考えると、実はなんでもないことだったりする。考えすぎることで、視野が狭まり正確な判断ができなくなるのだ。』

　うんうん、そうそう、と腕を組んでうなずいてしまう内容ですが、驚きはここです。

『本書は、「他人の期待を満たすために生きるな、自分自身のために生きろ」
　という信念に基づく人生のバイブルとして、一九二三年にイギリスで刊行されて以来、一〇〇年近くにわたって世界中で愛読されています』

　1923年に発行した本に書いていたことが、ほぼそのまま現代にも通用してしまう。人ってそんなに変わっていないのですね。
　ネットで最新情報を追いかけるのも大事ではあるのでしょうけど、じっくりと昔の人の考えていたことを頭に入れるのも、なかなか面白いものです。