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　ニュースが新型コロナ一色に染め上げられている陰で、ひっそりと盛り上がったニュースがあります。

 

「100日後に死ぬワニ」騒動です。

 

「100日後に死ぬワニ」とは、ネットで連載されていた漫画です。
　主人公のワニが連載開始から100日後に死ぬ、ということがあらかじめ決まっていて、読者はそれを知っていますが、漫画の中のキャラクターはそのことを知りません。そして毎日1回、話が更新されていきます。漫画そのものは、大きなドラマが起こることもなく、普通の日常が描写されます。ただ漫画には「死まであと◯日」とカウントダウン表示がされ、死ぬことを知っている読者はそれをふまえて見ることになります。
　そしてワニは、多くの読者に見守られる中、100日後に、本当に最期を迎えました。

 

　その直後です。イメージソング発表、グッズ販売開始、書籍化、映画化の告知がほぼ同時に行われ、しんみりとしていた読者の心を冷めさせてしまいました。一部の人たちが作者や関係者を攻撃する事態になり、ちょっとした問題になりました。

 

　ネットで人気になった作品が商売につながるのは悪いことではありません。が、これに関しては発表タイミングがあまりにも悪すぎました。少し間をおけばよかったという意見もあるようですが、これもタイミングを間違うと「いまさら感」が出てしまいます。

 

　もうどうにもならないことですが、宣伝は終了後ではなく、ワニが生きている間にするのがよかったのではないかと思っています。「曲を作ってくれます」「グッズを作っています」「書籍化のお話が来ました」と少しずつ出していけば、そんなにダメージを受けることもなかったのではないか、そんなふうに思います。

 

　宣伝の難しさ。お客様の心をつかむことのむずかしさを考えさせられる騒動でした。