2005年のつぶやき
2005年4月のつぶやき
○回転ドア事故に学ぶこと
約一年前、六本木ヒルズの大型回転ドアに、男の子がはさまれ、命を失いました。警察などが責任を追及する一方で、事故に直接関係のない各方面の専門家が集まり、事故が起こってしまった原因や、再発防止策を考えるプロジェクトが立ち上げられました。
そのプロジェクトを追った番組が3月27日、NHKで放送されました。
そのプロジェクトを追った番組が3月27日、NHKで放送されました。
『安全の死角 ~検証:回転ドア事故~』
回転ドアが登場したのは1970年代のヨーロッパ。建物の外の空気と中の空気を完全に遮断できるため、冷暖房の効率を上げることができるという長所がありました。
日本のメーカーは、オランダから回転ドアを取り寄せ、それを日本で製造、販売しようとしました。オランダの回転ドアはオールアルミ製でしたが、「見た目が安っぽい」ということで、アルミの上からステンレス板を貼りました。ドアの重量が増え、天井のモーターに負荷がかかって異音が発生します。そこで、モーターを増やし、回転するドアのほうにモーターを取り付けました。ドアの重量にモーターとその制御装置の重さが加わります。
高層ビルに吹き付ける風は予想以上で、風による影響を受けないようにするため、フレーム部もアルミから鉄に変更しました。
回転ドアは、重く、頑丈に、補強が繰り返されました。輸入した回転ドアのドア部の重さ900kgは、最終的に2700kgになっていたのです。センサーが反応して緊急停止がかかっても30センチも進んでしまう安全性のかけらもないドアになってしまったのです。
この流れを見ていて、私は呆れを通り越して怒りさえこみ上げてきました。
日本のメーカーは、オランダから回転ドアを取り寄せ、それを日本で製造、販売しようとしました。オランダの回転ドアはオールアルミ製でしたが、「見た目が安っぽい」ということで、アルミの上からステンレス板を貼りました。ドアの重量が増え、天井のモーターに負荷がかかって異音が発生します。そこで、モーターを増やし、回転するドアのほうにモーターを取り付けました。ドアの重量にモーターとその制御装置の重さが加わります。
高層ビルに吹き付ける風は予想以上で、風による影響を受けないようにするため、フレーム部もアルミから鉄に変更しました。
回転ドアは、重く、頑丈に、補強が繰り返されました。輸入した回転ドアのドア部の重さ900kgは、最終的に2700kgになっていたのです。センサーが反応して緊急停止がかかっても30センチも進んでしまう安全性のかけらもないドアになってしまったのです。
この流れを見ていて、私は呆れを通り越して怒りさえこみ上げてきました。
ヨーロッパの回転ドアには厳しい基準があり、実際に手をはさんで止めてみせていました。事故を起こしたドアの設計者は、自分たちが作ったドアに、実際に手をはさんでみることはできるでしょうか。絶対にできないはずです。止まらないのが分かっているからです。
この事故の後、回転ドアに対しては国の安全基準がなかったという報道がされ、国も回転ドアのガイドラインを作成することになりました。
でも、考えてみてください。
『ガイドラインなどなくてもちゃんとやっている』のが常識であり、メーカーの責任というものではないでしょうか。
でも、考えてみてください。
『ガイドラインなどなくてもちゃんとやっている』のが常識であり、メーカーの責任というものではないでしょうか。
私たちも、人間の力をはるかに超えた力を発生する機械を作っています。だからこそ、使用者の安全に関して、十分に考えたものづくりを目指さなければなりません。
最後に、ヨーロッパの回転ドアの関係者が語った言葉を引用します。ドアだけでなく、いろいろな機械に応用できる言葉ではないでしょうか。
「回転ドアは、なるべく軽く、できるだけ簡単な仕組みで動くようにすべきです」